【書評】「無くならないミスの無くし方 成果を上げる行動変容」
AWS事業本部 Haradaです。 最近、大事故には至らない「うっかりミス」が自分自身でもチーム内でも、何件か発生していることに気が付きました。 「ミスを0にする」は、理想だけど難しい。 何か良い施策はないものかと考え、本書を手に取ってみました。
本の紹介
- 著者:石田 淳(行動科学マネジメント研究所所長)
- タイトル:無くならないミスの無くし方 成果を上げる行動変容
- 出版社:日本経済新聞出版
学んだこと
本著ではミスが発生するメカニズムが、7つ紹介されています。 中でも気になった・自分の業務に役立ちそうだと感じた2つを紹介します。
1.曖昧な言葉が日常化している
- 前提:経験値・知識量は人それぞれである。言葉の解釈もひとそれぞれである。
- よって、具体性のある言葉を使うことが大事!
- MORSの法則(具体性の法則)
- Measured(計測できる):どのくらいやるのか数値化する
- Observable(観察できる):誰が見てもどんな行動か分かる
- Reliable(信頼できる):誰が見ても同じ行動と分かる
- Specific(明確化されいる):誰が見ても何をどうしてるか明確である
- MORSの法則(具体性の法則)
- 気付き
- 私が所属するチームでは、マニュアルを元にチームメンバーが作業をしている
- 人によって解釈が違ってしまったり、見落としが発生しミスを誘発することがある
- 属人化した作業や、熟練度によってできる・できないが偏りがちに…
- 視覚的に分かりやすいマニュアル
- 見落としが発生しづらいビジュアル
- 文字の分量、色、配置
- 人によって感覚差がある曖昧な表現を避ける
2.効率化に伴うチェック工程の削減
- 「〇〇さんに任せたから~」など、相互チェックの機会が減っている
- 確認回数が減っている
- 気付き
- 習熟度の高いメンバーなら大丈夫、などの先入観が発動することがある
- どの成果物に対しても同じレベルのチェック機構が必要
ミスをなくすには
「ミスが発生するメカニズム」が分かったところで、実際にミスをなくすにはどうしたら良いでしょうか。 本著では、”変えるのは意識ではなく「行動」である”ととかれています。 ミスをなくすメソッドについて気になったものを紹介します。
①「ポジティブ」「すぐに」「確か」の結果が出ることが大事
-
- タイプ :ポジティブか or ネガティブか
- タイミング:すぐ or 後で
- 可能性 :確か or 不確か
例をあげると、
- ヒヤリハットを報告したら怒られずに感謝された(ポジティブ)
- しかもその場で(すぐ)
- 毎回必ず(確か)
<感想> これをすることで、行動の継続・習慣化がしやすいそうです。 確かに、子育てでも同じだなって思いました。 失敗に対しても怒っても逆効果で、萎縮しさせたり隠し事を誘発しますもんね。 「必ず褒めてもらえる」と分かっていれば、すぐに報連相したくなります。
②一連の行動の言語化
- チェックリストの導入
- 曖昧表現は使わない
- チェックリストのチェック(正しく運用されているかの確認)が必要
③PDCAサイクルはまわらない
- PDCAサイクルとは:Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4つのプロセスを繰り返し、業務効率を改善するフレームワーク
- やることに具体性がなく「やったつもり」になりがち
- ハイパフォーマーしか実現できない
- 「ABCモデル」を取り入れよう!!!
- デメリットよりメリットを考えることが行動の継続には大事とのこと
- A(Antencedent)先行条件
- 行動をおこすきっかけ
- 行動する直前の環境
- B(Behaviour)行動:
- 行為、発言、ふるまい
- C(Consequence)結果:
- 行動によりもたらさせるもの
- 行動した直後の環境変化
- A(Antencedent)先行条件
- デメリットよりメリットを考えることが行動の継続には大事とのこと
例をあげると、
A:部屋が暑い B:窓を開ける C:涼しくなった →Aを実行しても、Cの効果・変化が発生しなければ、人は今後Bの行動をしない
<感想> 確かに、どんな行動をとっても「メリットがある」もしくは「デメリットを避けられる」から 行動は繰り返されるのだと理解しました。 ミスの対策として、やみくもに「チェックしろ」という負荷の増える注文だけを投げつけたり 「ミスを発生しないようにしよう」という精神論だけでは続かないですよね。
④コミュニケーションの有効性
- なんでも話せる環境が大事
- 従業員同志が仲良しか、上司の好感度は無関係
- 上司が部下に声掛けをしているか、が大事
例をあげると、
- メンバーに「感謝」を伝える
- メンバーへ「声掛け」頻度を増やす
- 報告があったら、まず「報告した」ことを褒める
<感想> 上司としてのメソッドが記されていましたが、同僚間でも大事なことですね。
最後に
本著は、行動科学に基づいて、ミスの発生を少なくするメソッドが語られていました。 事例集などもあり、「あるあるある」と現職や前職での仕事環境を思い浮かべながら楽しく学習することができました。 本著で学んだことを、実際に現所属グループに落とし込んで、それからはミス削減・人間関係の改善に努めたいと思います。